クリス・アンダーソンさんが「Free 無料からお金を生み出す新戦略」という本を出版してから「フリーミアム」という言葉がインターネット界で頻繁に使われるようになりました。

この本が発売されたのが2010年、もう3年も前のことですが、実際にまだ「フリーミアム」のビジネスをしっかりと理解できている企業は多くありません。クリス・アンダーソンさんは本の中で次のように述べています。

 

“二十一世紀のじめにいる私たちは、新しい形のフリーを開発しつつあり、それが今世紀を定義づけるだろう。新しいフリーは、ポケットのお金を別のポケットに移しかえるようなトリックではなく、モノやサービスのコストをほとんどゼロになるまで下げるという、驚くべき新しい力である。二十一世紀にはフリーがまったく新しい経済モデルになるのだ。”

 

毎年、年末年始になると来年は◯◯マーケティングが流行るみたいな記事が出てきますが、いちいちそのような記事に流されていてはきりがないです。「フリーミアム」は「哲学」であり、「手法」ではありません。今後のウェブマーケティング業界では「フリーミヤム」という言葉が更に飛び交うのではないでしょうか。

「無料サンプル」と「フリーミアム」はまったく別もの


従来のサンプルマーケティング
一つ買えば、一つ無料の従来のマーケティング

よくアメリカのデパートへ行くと、「Get One, Get One Free」というサインを見かけます。これは典型的な20世紀型の「無料」をモチーフにしたマーケティング手法で、「DVDを一つ買えば、二つ目はタダ」という感じで、お客さんを呼び込み、別の商品をカゴいっぱいに購入させるというやり方です。

二十一世紀を象徴する「フリーミアム」は従来の「無料サンプル」とは大きく異なります。まずは「有益な情報」をユーザーに無料で与えることで、「信頼」を獲得し問い合わせをもらいます。あなたがミュージシャンであれば、「楽曲」をインターネット上で、無料で公開し、コンサートに来てもらい、グッツを買ってもらうことで収益を得るというようなモデルです。

グーグルもほとんどのサービスを無料で提供していますが、世界で最も儲かっている企業のひとつとして名前が上がります。クリス・アンダーソンはこう語ります。

 

“ここにフリーのパラドックスがある。料金をとらないことで、大金を稼いでいる人々がいるのだ。すべてとは言わなくても、多くのものがタダになっていて、無料か無料同然のものから一国規模の経済ができているのだ。”

 

「フリーミアム」、21世紀の新しいビジネスモデルがここにある。

エバーノートの成功


エバーノート_ウェブマーケティング
急成長中のエバーノート社

「フリーミヤム」は現在、シリコンバレーでは当たり前のビジネスモデルになっています。実際はどの企業も成功しているわけではなく、多くの企業はなかなかマネタイズまで持っていけず、苦戦しているようです。

しかし、「エバーノート」のような企業の成功は、これから「フリーミヤム」のビジネスモデルで成功しようとしている企業に勇気を与えてくれます。

ご存知の通り、エバーノートは基本無料で使えるシステムで、追加のカスタム機能やストレージをもっと多くしたい場合は、月数ドルのお金払います。
フリーミヤム_エバーノート_マネタイズ
マネタイズの期間

 

上記の図を見てもらえれば、分かるのですが、エバーノートがリリースされて最初の30日間はサービスにお金を払ったユーザーは0.5%(月5ドルか年45ドル)だったのですが、6ヶ月には1%に達します。さらに2年後は6%のユーザーがお金を払い、94%の人が「無料」でサービスを使い、6%のユーザーがお金を払うというビジネスモデルが成り立っています。

エバーノートのCEO、Phil Libinさんは、次のように話しています。

 

「一億人にお金を払ってもらうための一番の近道は、まず一億人に使ってもらうことだ。」

 

どのようにマネタイズするかをしっかりと考える必要がありますが、いきなりユーザーからお金を取るのではなく、まず使ってもらう「フリーミヤム」のビジネスモデルで短期間で成長した企業がシリコンバレーから数多く出てきています。

日本のIT企業も学ぶことが多いのではないでしょうか。

参考記事

「Evernote CEO Phil Libin's 3 Steps to "Freemium" Success」

 

まとめ


フリーミヤムのビジネスモデルはお金が入ってくるまで時間がかかります。企業によってはもう数年間まったくお金が入ってこないながらも、フリーミヤムのビジネスモデルを続けるいるところもたくさんあります。しかし、Phil Libinさんの言う通りで、お金を払ってもらうためにはまず使って貰わなくてはいけません。たくさんのユーザーに無料に使ってもらいながらも、しっかりとマネタイズをする方法を見つけるのは安易ではないと思いますが、シリコンバレーでは「フリーミヤム」のビジネスモデルを使って、多くの企業が急成長していることを頭に入れて置かなければなりません。